☆☆☆☆☆
産後の腰痛や長引く原因不明の腰の痛みの一因でもあります。
この疾患はCTやMRIなどの画像検査では異常が発見出来ない機能性の腰痛です。
背骨を骨盤で受け止める仙骨と
一般に骨盤と呼ばれる腸骨とで成り立っている
わずかに可動性を持っている関節です。
肩や膝・肘の関節のように大きく動くことはできず、
可動範囲は0.5~2ミリ程のわずかなもので、
歩行するときや座る動作の時に可動します。
また、上半身からの荷重を支えるため、靭帯が発達しています。
関節の前面には前仙腸関節靭帯・後面に後仙腸関節靭帯・長後仙腸靭帯・下方から
関節を固定する仙結節靭帯、そして関節面を繋ぐ骨間靭帯は
人体で最も強い靭帯といわれています。
関節面の形状は個人差が大きく荷重を支え伝達する役割をもつことから、
他の関節に比べ関節面の摩擦係数が大きい特徴があります。
この関節を含む骨盤後面の領域は、第4腰椎~第3仙椎後枝の外側枝という
神経の支配領域で他の腰痛の神経支配領域とその多くが重なるため診断を難しくします。
また、この関節を動かすための筋肉がなく腰に関わる様々な筋肉が収縮することで
受動的に動いている関節であるために機能不全を起こすと治りにくい特性があります。
腰の痛みの特徴は鋭い刺されるような痛みで
疲労性の腰痛のような重い鈍痛とは明確に違います。
これは、仙腸関節には二十数個の侵害受容器と呼ばれるセンサーが
発達しているためです。
そして、ぎっくり腰のような疼痛発作時は座位で痛みが誘発され易くなります。
骨盤下面の坐骨が固定されてしまうため、ただでさえ負荷がかかっている関節に
更なる負荷を強いるためです。
また、疼痛発作時の患者さんの多くが仰向け寝がつらく
横向き寝が比較的に楽である特徴もあります。
発症好発年齢はなく全年齢層に広く起こりうる腰痛です。
全腰痛患者のうち、およそ10%がこの腰痛であるといわれています。
☆☆☆☆☆